MIND REAPER
 メーカー名:JANIS
 発売日:2003/05/16
 メーカーホームページ:
http://www.sp-janis.com/   評価:A−(80点)
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 SFチックな設定が好みだったので刈ってみました。JANIS / ivory作品は「魔法のパレット」以来。発表当初,従来との作風の違いに驚いたんですか,果たしてそれが吉と出たんでしょうか……?

【ゲームシステム・内容】
 AVG(通常パート)とSLG(ゲームパート)の混合です。話のボリュームがある上にゲームパートの数が多いので,プレイするにはかなりの時間がかかります。ただ,ゲームパートは各面とも1回クリアすれば次回以降はスキップできるので,何度もゲームパートに拘泥しないで済むという点は宜しいかと思います。
 で,肝心のゲームパートの内容ですが,正直微妙ですね。ゲームパート自体の出来は悪くないです。また,ゲームバランス激悪な体験版からちゃんと再調整がなされている点も評価できます。ただ,メリハリがない。面が変わっても,殆どやることが変わらないんです。しかも,厳密な意味での「ラスボス」みたいなのもいない(ちょっと雑魚ユニットよりステータスが高め,くらいでしかない)ので,ずっと雑魚との戦闘を繰り返しているような錯覚に陥ります。ここら辺,ゲームパートの数の多さが裏目に出てしまっているのではないかと思いました。強制的に敗北させられる面とか,ボス戦のある面とかみたいに,もう少しメリハリを効かせた展開にした方が良かったのではないかと思いました。
 あと,難易度に関しては(ヘタレゲーマーの私にとっては)若干高めに感じました(どうしようもないときとかは下の【裏技?】で何とかなるんですけどね)。戦闘時に与えられるダメージが少なかったり,敵の数が多くて集中砲火にあったり,レベルがなかなか上がらなかったり,面によっては連続戦闘(=体力が回復しない)だったりするので。ただ,連続戦闘については,話の展開上理に適っている箇所に配置されていたのには感心しました。

【裏技?】
 たいしたことじゃないんですが,上でも述べたように,このゲームは一度クリアした面はスキップすることができます。しかも,(1)クリアしたか否かの判定は各面毎に行われる(エンディングまで行かなくてもスキップ可能),(2)戦闘をスキップするとボーナスで戦闘に参加したキャラのレベルが上がる,という特徴があります。ですから,戦闘前にセーブ→戦闘終了→戦闘前のデータをロード→戦闘をスキップ,とすると次の戦闘が連続戦闘でも体力満タン&高レベルで戦闘できます。……まあ,これやるとつまんなくなるんですけどね。取り敢えず参考までに。

【システム】A−
 極めて使いやすいシステムでした。機能的にも必要十分でしたし,動作も軽快かつ安定。一部バグが有るそうですが,パッチを事前に当てていたので,一度も強制終了や動作不安の類などはありませんでした。やっぱシステムが安定的でかつ軽いと,プレイしていても安心できますね。唯一の不満といえば,ゲームパートでのステータス画面でキャラの切り替えをする際の反応が鈍いこと位でした。◎。

【音楽・音声】音楽:A−,音声:B
 音楽については健闘していたと思います。特に主題歌「remember days」「end of misery」,とりわけ前者は個人的にかなり好み。BGMについても作品の雰囲気に合っていて良かったです。ただ,効果音については,数が不足&あってもタイミングがおかしくて△でした。
 音声についてはキャラに合っていたと思います。ただ,ちょっと演技力不足な方も散見されましたので,この位の評価ですかねえ。

【絵】B
 担当は「CRASHはんぺん」氏。氏の作品は初めてですが,結構出来は良いのではないかと思います。ただ,ちょっと絵に癖が強いので人を選びますね。それと,絵によってはデッサンが乱れていて,別人に思えるときがあったのはすこし気になりました。
 絵の構図,特にエロ絵については満足。真薙の陵辱シーンとか,良い感じに制服を着崩しており,かつちゃんとソックスを描写している点は◎。
 立ち絵に関してはいいのではないかと思います。ただ,ポーズが仰々しすぎて,シーンにあわない場面が幾つかあったのは△かな。

【エロ】B
 エロに関しては頑張っていると思います。1つの作品内に純愛系・陵辱系のエロをともに取りそろえている点は,エロの充実&シチュ・属性の偏り防止に貢献しており,個人的にとても良かった。
 また,着衣Hが多く,かつその構図にも拘っている点も◎。特に先にも述べた真薙が黒服たちに陵辱されるシーン,あの構図は垂涎ものですね。良い感じに制服を着崩し,かつ上手く足を曲げさせてしっかりとソックス&靴を描写しているのでたまりませんなあ。あとはあの構図で実際に黒服に挿入されていれば文句なしだったのですけどね。……済みません。一つのシーンに拘りすぎました(w。
 ただ,エロテキストは薄目。卑語等の特殊属性もないので,エロにつきテキストを重視される方には不向きかと思いますね。
 あと,大瀧怜(敵),彼女の陵辱着衣Hシーンは欲しかったなあ(レズ&SMシーンしかないのは残念)。

【シナリオ】B+
 で,最後に肝心のシナリオ。私はSFについては門外漢なので細かい点は良くわかりませんけど,個人的にはSFの雰囲気が出ていて良かったと思いました。泣かせる話だったり,構成の巧みさに驚かされたりするわけではないですけど,丹念にシナリオを編んでいた点は評価できると思います。目新しさはないですけど,堅実な出来のシナリオと言えると思いますね。ボリュームも有りますし,話も二転三転して結構面白い。久方ぶりに「作り込んでいるな」と思わされるような作品だと思いました。
 ただ,エンディングが総じて淡泊でかつ尻切れトンボな感じがしたのはマイナス。あんまり盛り上がらないままムリヤリ終幕となってしまうので,中途半端な消化不良感があります。また,ハッピーエンドでも完全にハッピーなわけではなく,若干の後味悪さがあるので,そこら辺は賛否の分かれるところかも知れません。ご都合主義で終わらせてないところは良いと思うんですけどね。
 あと,テキストがやや堅めでかつ若干不自然な言い回しがあったことは付言しておきます。

【結論】A−
 「バランス良く仕上がったSF風味の良作」。全ての要素が,一定以上のレベルを保ちつつバランス良くまとまっている点が特徴かと思います。ゲームとしても結構楽しめるし,エロも標準以上。エロゲーとしては模範的な出来だと思います。刈って損した,と思われることは殆ど無いのではないかと。
 ただ,ゲームとしてのバランスがよい反面,なにかずば抜けて良い・印象に残るといったものがないというのも事実ですね。ゲームとして面白いんだけど,プレイ後もずっと印象に残るような作品ではありません。難しい注文かとは思いますが,やはり「おっ」「スゲエ」とか思わされる要素が欲しかったなあ,と思いました。


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